子どもの自殺は後を絶たず、学校でのいじめが原因に疑われても、真相を明らかにするのは容易ではない。そんな中、多くの遺族たちから頼られている女性がいる。
「全国自死遺族連絡会」の代表、仙台市に住む田中幸子さん(75)。
これまで十数件に及ぶ各地のいじめ自殺事案で、遺族の「代理人」として、教育委員会や行政とわたりあってきた。自らが19年前、警察官だった息子を過労やパワハラが原因で亡くした当事者でもある。
いじめ自殺にかかわり始めたのは2007年。前年に自死遺族の集まりを立ち上げ、電話番号を公開していた。青森県や山形県で起きた中学生と高校生の3件の自殺で、親たちがすがるように連絡してきたのだ。
我が子はどうして追い詰められたのか。どんな言葉を投げつけられていたか――。
当時、真実に近づくすべは、学校などを相手に損害賠償訴訟を起こすしかなかった。弁護士を遺族に紹介し、法廷につきそった。
搬送先に駆けつける校長「マスコミに公表しますか」
壁はとてつもなく高かった…